令和5年11月21日に開催した本会議は、地域共生社会の実現を目指し、令和4年2月に宮城県と本会が共同して立ち上げたプラットフォームです。今回は、「みやぎの地域共生社会の方向性」を再確認するとともに県内の取組事例から、地域共生社会の形成に向けたヒントを学びました。
みやぎの地域共生社会の方向性について
はじめに本会議の会長である村井嘉浩宮城県知事(代理:志賀保健福祉部長)から御挨拶いただき、次いで、本会議の副会長である本会宮川耕一会長から「みやぎの地域共生社会の方向性」を説明しました。
○「おたがいさま」「少しのおせっかい」の機運を広げ、互いに気にかけあう関係性の創出や、地域資源の有効活用によって支援の幅を広げる必要があること。
○東日本大震災の経験から被災地に浸透した「互助」「共助」の意識を、全県下で展開していく必要があること。
○県内で地域共生社会の実現に向けた機運を高めるためには、福祉以外の団体も巻き込んでいく必要があること。
[161 KB] |
▲宮城県社会福祉協議会 宮川耕一会長
事例報告
地域共生社会のキーワードである「多世代交流」や「他分野との連携」が進んでいる事例について、3団体から御報告いただきました。また、ファシリテーターとして、認定特定非営利活動法人「杜の伝言板ゆるる」副代表理事の真壁さおり氏に各団体の活動のポイントをまとめていただきました。
認定特定非営利活動法人あかねグループ 理事長 清水 福子 氏
経緯と主な活動
子育てを終えた主婦たち有志10人が集まり、1982年に「あかねグループ」を発足。ホームヘルパーが訪問先の一人暮らしの高齢者の「もやし一皿」の食事を見て「何とかしたい」との想いから、老人給食配食サービスを始めた。現在は配食サービス事業を通じて、高齢者や障害のある方などにお弁当を配達しているほか、サロン活動として、平日に日替わりのランチや軽食などを提供している。また、月に一度、子ども食堂「あかねちゃんの家」とコミュニティカフェを開催している。
社会福祉法人角田市社会福祉協議会 事務局次長兼係長 岡本 圭一郎 氏
設立経緯と主な活動
角田市シルバー人材センター(以下「シルバー人材センター」という。)から、街中の空き店舗を活用して、「何か一緒にやらないか」と声を掛けられたことがきっかけとなり、角田市社会福祉協議会(以下「角田市社協」という。)とシルバー人材センターが共同でアンテナショップ「憩」を運営し、毎週平日にコーヒーやお茶、自主製品の販売等を行っている。また、管理はシルバー人材センターの会員が中心に行い、角田市社協が指定管理を受けている障害者就労支援施設のぎくの利用者が週3回販売作業を行っている。
一般社団法人イシノマキ・ファーム ソーシャルファーム部門 部門長 池田 新平 氏
設立経緯と主な活動
東日本大震災後、現代表理事が石巻市で子どもの不登校やひきこもりが激増していることを知り、高校生や若者に就学・就労のサポートと心のケアを行うことを目的に、2016年に農業に特化した就労支援事業を設立。現在は、不登校やひきこもりなどの若者への就労の場として、ホップ、さつもいもの栽培、栽培に係る6次化商品製造や、ビールの醸造等に係る補助作業の活動を行っている。また、石巻市農業担い手センターでは、就農を希望している人に合わせた就農支援や、仕事に就けていない若者を対象に1週間泊りがけで農業に触れてもらう農村留学プログラムを行っている。
▲事例報告の様子①
▲事例報告の様子②
真壁氏からは、それぞれの活動について「大切にしている想い(意識)」と「自分たちの活動にどうやったら活用できるか」という視点から解説をいただきました。地域住民とともに行う地域づくりの価値や、他団体との連携、農業と福祉のような他分野との連携の意義を確認することができました。
▲認定特定非営利活動法人あかねグループ 活動のポイント
▲社会福祉法人角田市社会福祉協議会 活動のポイント
▲一般社団法人イシノマキ・ファーム 活動のポイント
令和5年度宮城県地域共生社会推進会議の取組について
最後に、事務局から本会議の取組を説明しました。構成団体からなる専門部会に、具体的な議論を深めるため、3つの分科会を設置しました。各分科会のテーマは下記のとおりです。
1 地域の課題解決分科会
・コミュニティソーシャルワーカーの等の実情調査と活動支援
2 市町村支援及び普及・啓発分科会
・重層的支援体制整備事業等の実施に向けた取組支援
・構成団体及び福祉以外の団体(企業等)の活動促進に向けた普及・啓発
3 地域における社会資源調査分科会
・各地域の地域資源を調査・データベース化
今後も、本会では「宮城県地域共生社会推進会議」を通じて、様々な主体による地域共生社会の実現に向けた取組が、さらに活性化するように努めていきます。