宮城県地域共生社会推進会議では、宮城県内の困りごとを抱えた高齢者・障害・子ども等の種別を超えた支援や地域住民の支え合い活動及び自治体・社協・福祉関係団体、NPO、企業などの連携事例を調査し、活動内容などについて情報発信を行っています。
今回は大河原町内でブランド豚肉「和豚もちぶた」の生産、直売店舗事業、日帰り温泉事業、自家製どぶろく製造・販売を通して地域密着型のビジネスを展開する株式会社ヒルズの取組について、取締役総務部長兼社長室長の小野寺様にお話を伺いました。
インタビュー:株式会社ヒルズ
取締役総務部長兼社長室長 小野寺 拓弥 氏
-株式会社ヒルズについて、教えてください。
株式会社ヒルズは、大河原町内で養豚業を昭和44年に創業しました。ブランド豚肉である「和豚もちぶた」の生産を通して事業を拡大し、平成15年には愛情を込めて育てた「和豚もちぶた」の精肉や加工品をはじめ、宮城県南地域の農産品や農産加工品、地場産品、工芸品の直売所として「もちぶた館」を開設しました。現在は、源泉かけ流しの温泉が楽しめる「おおがわら天然温泉 いい湯」や自社生産100%のお米を使った「どぶろく」の製造販売のほか、環境リサイクル事業として、自社で堆肥製造も行っています。
また、「もちぶた館」や「おおがわら天然温泉いい湯」の周りは、「とんとんの丘」として散策路やわんぱくの森を整備し、地域の皆さんが自然や動物とふれあいながら1日中過ごすことができる憩いの場となっています。
▲おおがわら天然温泉いい湯の外観 ▲とんとんの丘のカピバラさん
-どのような取組を行っているのか、教えてください。
ヒルズでは、創業以来、地域とのつながりや人とのふれあいの場所づくりを大切にしてきました。畜産農場を営む上では、どうしても臭いの問題が発生してしまうこともあり、地域にご迷惑をお掛けしているという認識から、出来うる限りの地域貢献活動に取り組んでいます。
具体的には、「とんとんの丘」を地域に開放して、老若男女問わず様々な方が集まれる場を提供することによって、観光や交流の拠点として賑わいの創出を図っています。また、地元や自治体で開かれるイベントなどへの出店や協賛も行っているほか、学校行事への協力なども惜しみなく行っています。
また、大河原町社会福祉協議会など主に町内の団体が主催しているこども食堂への食肉の提供についても、地域で困っている人がひとりでも少なくなるようにとの想いから毎月協賛しています。最近では近隣市町のこども食堂への協力へも支援を拡大してきています。
以前は、町内の高齢者福祉について考える場である協議体にも委員として参画しており、食を通したあらゆる世代へのアプローチについて、町内の各種団体と連携・協力しあい、一緒に考えながら地域の活性化に取り組んでいます。
▲こども食堂の様子① ▲こども食堂の様子②
-今後の展望を教えてください。
ヒルズは、2020年に経済産業省が選出する「地域未来牽引企業」に選定されています。「地域未来牽引企業」とは、地域の特性を生かして高い付加価値を創出し、地域の事業者等に対する経済的波及効果を及ぼすことにより地域の経済成長を力強く牽引する事業を更に積極的に展開すること、または今後取り組むことが期待される企業です。
これからも引き続き、地域住民の理解を得ながら、積極的に地域経済の発展に寄与できる地域密着型企業を目指し、スケールメリットを生かした生産性の向上やコスト削減、経営の効率化、地元企業として新たな雇用機会の創出などを進め、地域とともに発展していける企業であり続けたいと考えています。
▲とんとんの丘のやぎさん ▲農場のスタッフ
取材を通じて
今回ヒルズ様に取材をさせていただき、一見、福祉分野と関わりが薄いようにも思える企業の取組が、実は地域に深く根差した活動になっており、地域住民にしあわせをもたらす存在(地域資源)になっていることを実感できました。社名「ヒルズ」の由来は、農場周辺に立地する「複数の丘」ということで、自然豊かな環境を生かしたヒルズの取組に今後も注目していきたいと思います。
本会では今後も地域共生社会の実現に向けて、地域づくりに積極的に関わっている企業や団体の取組について、広く情報を発信していきます。