【共生社会レポート⑥】利府町役場にあるコーヒーショップで生まれるつながり

 宮城県地域共生社会推進会議では、宮城県内の困りごとを抱えた高齢者・障害・子ども等の種別を超えた支援や地域住民の支え合い活動及び自治体・社協・福祉関係団体、NPO、企業などの連携事例を調査し、活動内容などについて情報発信を行っています。

 今回は利府町社会福祉協議会(以下「利府町社協」という。)が運営している利府町障害者地域活動支援センターの取組の1つである、コーヒーショップ「ペア・パル」について、利用者及び担当者の方々に取材してきましたので、御紹介したいと思います。

インタビュー:社会福祉法人利府町社会福祉協議会
       利府町障害者地域活動支援センター
       施設長 船越 勉 氏               

-取組を始めた経緯を教えてください。

 平成14年6月に利府町役場新庁舎・町民交流館「ペア・パル」が完成しました。同年8月に利府町から利府町社協へ町民交流館カフェコーナー(給湯室)の有効利用について相談があり、協議の結果、障害者の働く喫茶店を設置することが決定し、同年9月から利府町社協における障害福祉事業の一環として、利府町役場内町民交流館カフェコーナーでコーヒーショップ「ペア・パル」の営業が本格的に開始しています。

 

-具体的にどのような取組を行っているのか、教えてください。

 「ペア・パル」は喫茶店の営業活動を通して、就労への意識を高めると共に社会参加と自立促進を図りながら、障害福祉の理解と地域福祉の促進に努めることを目的としています。営業時間は月曜から金曜までの午前10時から午後2時半までとし、他団体からは火曜日限定パンや木曜日限定おにぎりの提供といった協力もいただいております。
 また、利府町ボランティア友の会が障害者の方の社会参加を目的とした接客や会計の手伝いなどを行っており、地区毎に担当曜日を決め、社会との交流を促進する活動に取組んでいます。

 

▲役場庁舎内1階カフェコーナー     ▲「ペア・パル」で働くみずたにさん

 

-この取組での良い点、大変な点を教えてください。

 地域活動支援センターの利用者の方からは「多くの地域住民が訪れてくれることで大きなやりがいにつながっている。」また、利府町ボランティア友の会のボランティアの方からは、「ペア・パルは地域住民とのふれあいの場であり、同時に地域のことを知れる貴重な機会でもある。」とのお話をいただいており、良い点だと思っています。社協担当者として良いと感じる点は、施設利用料が全額減免であるなど町の全面的な協力があることです。
 一方、大変な点としては運営費について補助金がないことから、全ての経費は売り上げに左右され、利用者の方の配分金に大きな影響があることだと思います。

▲お店のぼり旗   ▲コーヒー準備中          ▲メニュー表

 

-今後の展望を教えてください。

 地域活動支援センターでは「ペア・パル」の営業のような地域交流の活動の他、自己実現を図るために必要となる創作活動や、軽作業などを提供し、作業意欲の向上を図る生産活動を行っています。これらの活動が今後も地域活動支援センターの利用者にとって、安心できる居場所づくりとしての役割を果たせるようにしていきたいです。また、地域活動支援センターの利用者が様々な人と関わって社会参加ができるきっかけとなることができればと考えています。

    

▲カフェ内の様子①            ▲カフェ内の様子②

 

取材を通じて

 今回、利府町社協が利府町役場で営業しているコーヒーショップ「ペア・パル」での取組について、御紹介しました。障害のある方が接客や会計を通じ、地域住民とのふれあいや繋がりを見い出すという地域交流活動は、同時に地域住民同士の繋がりを生む貴重な取組となっていました。
 本会では今後も地域共生社会の実現に向けて、地域づくりに積極的に関わっている企業や団体の取組について、広く情報を発信していきます。