【共生社会推進課】令和6年度第2回宮城県地域共生社会推進会議を開催しました。

 令和6年12月24日に開催した宮城県地域共生社会推進会議(以下「本会議」という。)は、令和4年2月に宮城県と本会が共同して立ち上げたプラットフォームで、今回で6回目の開催となりました。
 本会議は、基調講演及び取組事例の報告を通じて「孤独・孤立対策の推進及び対策に必要な分野を超えた連携・協働」に向けた機運を醸成させることを目的に開催したものです。

概要説明「孤独・孤立対策推進法の概要について」

 はじめに本会議の会長である村井嘉浩宮城県知事(代理:武田保健福祉部副部長)から御挨拶いただき、次いで、宮城県保健福祉部社会福祉課の相原課長から概要説明を行いました。
<主な内容>
〇宮城県保健福祉部 社会福祉課長 相原 幹司 氏
 近年、社会構造の変化に伴い、単身世帯の増加や働き方の多様化、コロナ禍による社会環境の変化などにより、人と人とのつながりの希薄化や孤独・孤立の問題が顕在化・深刻化するなど、誰もが孤独・孤立に陥りやすい状況になっている。このような社会に内在する孤独・孤立の問題に対応するため、令和6年4月に「孤独・孤立対策推進法」が施行された。
 本会議において「宮城県孤独・孤立対策官民連携プラットフォーム」としても位置付け、取組を推進していく。また、地方公共団体における孤独・孤立対策の推進体制として、県では宮城県孤独・孤立対策庁内連絡会議を設置し、部局を横断する庁内連携体制の構築を進めている。市町村においては、当事者への具体の支援内容について協議を行なう地域協議会の設置を検討いただきたい。

基調講演「社会的孤立の実態と地域共生社会の実現に向けてできること」

神奈川県座間市福祉部の林氏から基調講演いただきました。
<主な内容>
○神奈川県座間市福祉部 参事兼社会福祉課長 林 星一 氏
 平成27年4月から生活困窮者自立支援法が施行されたが、当初は誰を対象に何をすればいいか分からなかった。初めに庁内連携によって課題解決につながった成功体験を重ね、それを共有することで、庁内連携の意義を知ってもらう取組を行った。他にも庁内における包括的支援体制構築に向けて、庁内連携のためのツールとして「つなぐシート」、ベテラン職員の経験を経験の浅い職員に共有する「相談チャート」、職員間のつながりづくりと知識の向上を目的とした「研修会」、生活に困っている人をつなげる「相談ロゴ」の4つの取組を実施した。
 複合的な課題を抱えた人の支援を行うには、制度の適用や公的機関との連携だけでは対応できないため、地域の人に助けを求めた。個別事例を通じて官民がお互いの立場を理解していくプロセスを重視してきた結果、多様な主体の参画による地域と行政が一体となった「チーム座間」が誕生し、包括的な支援を行っている。こうした包括的な支援を行うためには、地域の中の複雑化する課題をまるごと扱うという意思を持ちながら、まるごと対応しつつも、単独の機関だけで課題を丸抱えせず、連携することが大事となる。

 

事例報告

 県内で地域共生社会の実現につながる取組を実践している2団体に御報告いただき、林氏に各団体の活動の意義や今後の活動への期待などについて、コメントをいただきました。
<事例報告①>テーマ「地域共生食堂~自然体のコミュニティづくり~」
○だんらんかぞく 会長 昆野 美津子 氏
 2018年に自治会主催で地域食堂を開始し、2020年に「だんらんかぞく」として独立するも、新型コロナウイルス感染症の影響で活動が制限されていた。そのような中、活動を続けたいという想いがあり、ひとり親世帯や困窮世帯を対象にし、形を変えて活動を継続している。
地域食堂を始めたきっかけは、こども食堂立ち上げ講座に参加した際に、一緒に参加した若い世代から「やってみたい」との声が挙がったことと、地域に問題を抱えている子供がいるのであれば見つけてあげたいと思ったことである。今はひとり親世帯や困窮世帯に衣料品を譲る「ゆずりんコーナー」や、手作り弁当や支援品の配布などを行っているが、子供も大人も自然体で集まれる「自然体のコミュニティづくり」を心掛けているため、令和7年度中に地域食堂を会食形式に戻したいと思っている。
 この活動を通じて、地域住民がつながり、顔の見える関係になり、一方通行ではなく相互通行のコミュニティにしてもらいたい。

<事例報告②>テーマ「地域で子どもと大人が共に学び共に行う地域づくり」
○川崎町社会福祉協議会 地域福祉係長兼福祉活動専門員 北郷 正之 氏
 川崎町社会福祉協議会は他の社会福祉協議会(以下「社協という」。)と比べて、高校生とのつながりが少ないことに気が付き、隣接している柴田農林高等学校川崎校の先生と話をし、令和元年にボランティア部によるデイサービスセンターでのボランティア活動が始まった。この活動を町内の住民に広げることで、交流が増え、地域を盛り上げていくことにつながると思い、宮城県社協で行っている地域指定福祉教育推進事業を活用することを決めた。
 主な活動として、町内の社会福祉法人の施設利用者を対象に寄付でいただいた衣類を活用した「無料の洋服屋さん」を企画し、高校生と一緒に洋服を選ぶことで会話が生まれるなど、施設利用者との交流を行っている。他にも、施設の運動会や合同避難訓練・炊き出し訓練などに、町内の施設やボランティア友の会、高校生が参加しており、平時からのつながりを作るきっかけになっている。この事業の期間(3年間)が終了した後もつながりを継続し、さらに範囲を広げた活動を行えるように行政やNPO法人を加えた実行委員会を立ち上げた。
 今後、この活動を通じて川崎町に住んでいて良かったと思えるような地域づくりにつなげていきたい。

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 今後も、本会では本会議を通じて、様々な主体による地域共生社会の実現に向けた取組の共有を行うことで、県内での取組がさらに活性化するように努めていきます。