【共生社会レポート⑩】誰でもウェルカム☆みんなで集おう!みんなで食べよう!社協こども特別食堂☆

 宮城県地域共生社会推進会議では、宮城県内の困りごとを抱えた高齢者・障害・子ども等の分野を超えた支援や地域住民の支え合い活動及び自治体・社協・福祉関係団体、NPO、企業などの連携事例を調査し、活動内容などについて情報発信を行っています。
 今回は柴田町社会福祉協議会(以下「柴田町社協」という。)が行っている「社協こども特別食堂」の取組について、柴田町社協の加茂氏に取材してきましたので、ご紹介したいと思います。

インタビュー:柴田町社会福祉協議会 次長 加茂 三弥 氏

-この取組を始めた経緯を教えてください-

 社会構造の変化を背景に、地域に多世代交流の拠点が少なくなってきていることを感じました。地域共生社会の実現には、つながりづくり・つながれる場づくりが大切だと考えています。社協こども特別食堂が、地域における世代を越えた交流の場となることを目指し、開設に向けた取組を始めました。
 実施にあたっては、令和5年度、関心のある方々を対象としたボランティア研修会を実施し、こども食堂の必要性や立ち上げ方法、子ども達の居場所づくりに必要なエッセンス等について、住民と共に学びを深めました。その後、模擬こども食堂の運営等を行いイメージを膨らませ、令和6年度から社協が中心となり、住民と共に運営する「社協こども特別食堂」がスタートしました。

 

-具体的にどのような取組をされていますか-

 「子どもの貧困対策」「子育て支援」「地域づくり」の3つを軸に、子どもを真ん中に置いた多世代交流の地域の拠点として「社協こども特別食堂」を実施しています。
 社協こども特別食堂は、多くの方々が携わって開催され、食堂に来る方々も様々です。運営にあたっては、こども食堂の立ち上げや子ども達の居場所づくりについての研修を受講したボランティアの方々が調理を担当し、食堂開始までの時間帯は子育てサロンきららが開催されているため、子ども達は親御さんやボランティアと楽しい時間を過ごしています。
 また、食堂には行政をはじめ関係機関の職員も参加しており、情報共有や連携を図る場にも繋がっています。さらに、地域住民の方々や地域の企業から寄付された野菜やジュース、お米が並んでおり、たくさんの方々の協力とご厚意が集まり開催されています。
 「こども食堂」と名はついていますが、対象者を限定しておらず、幼児から高齢者、町内の障害者施設の利用者の方々など、誰でもウェルカム☆な場となっています。食堂に集い、ボランティアも専門職も参加者とともにテーブルを囲んで、美味しい食事を摂りながら心温まる時間を過ごしています。

▲社協こども特別食堂の様子         ▲食堂で提供された献立

 

-どのような効果が期待できるでしょうか?-

子ども達の居場所作り、子育て支援、困窮者支援の場となることに加え
・対象者を限定しないことで、地域での顔の見える関係作りに繋がる。
・乳幼児からご高齢の方々までが集い、多世代交流を行う中で、お互いを思い合う気持ちを育むことができる。
・子ども達に沢山の出会いと経験を提供できる。
・障害者との接点が当たり前にあることで、心のバリアフリー化に繋がる。
・企業からの寄付や、フードバンクへ寄付された食材を活用することによって、思いやりの心を循環し、企業の地域貢献活動等を促進できる。
・こども食堂や子育てサロンきららのボランティアの方々の活躍の場となるとともに、ボランティア活動に関心を持って下さった方をサポーターとしてお誘いするなど、地域活動実践者を増やすことに繋がる。
・専門職も一緒に食事をする中で、気になるケースを把握する場、住民が抱えている悩みを早期に発見し、対応する場となる。

など、普段接点が少ない住民同士の接点を意図的に作り、多様な主体を巻き込んで開催し、また、その取組を継続していくことで、様々な効果が期待できます。

▲地域の方から寄付されたカボチャ        ▲社協こども特別食堂の様子②

 

-今後の展望を教えてください-

 令和6年度に始動したばかりの取組のため、今後もあり方を模索しながら、充実を図っていきます。現在は開催日時が平日の日中ということもあり、参加者が限られていますが、小中高生の長期休業中の開催や、土日の開催も視野に入れるなど、多くの方々が集える場となるよう、検討していきたいと思います。
 子ども達が地域の大人に見守られ健やかな成長や、親御さんが悩みを抱え続けることなく必要な助言や支援を受けること。また、地域住民が「やさしい未来」を作る社会活動に参画できるように、様々な人や団体や関係者の想いを丁寧に紡いでいくことで「地域共生社会の実現に繋がるこども食堂」になることを目指していきます。

▲ 地域の企業から寄付された食品       ▲子育てサロンきららの様子

 

取材を通して

 社会構造の変化により、町内会行事や子供会行事が縮小し、子ども達が地域の大人と触れ合う場も、子育て世帯が地域の方々と触れ合う場も減少しています。地域の繋がりが希薄化する今、住民が集える拠点を意図的に作っていくことは、重要な取組であると考えます。町内には、社協こども食堂で学びを得た住民を中心に、新たなこども食堂の開設に向けて準備を行っている地域もあるとのことでした。社協による実践とサポートにより、柴田町に「多世代交流の拠点」「暖かい繋がりを育む場所」が広がることを期待しています。