【共生社会推進課】令和6年度第1回宮城県地域共生社会推進会議を開催しました。

 令和6年8月20日に開催した宮城県地域共生社会推進会議(以下「本会議」という。)は、令和4年2月に宮城県と本会が共同して立ち上げたプラットフォームで、今回で5回目の開催となりました。
 本会議は、県内の取組事例を通じて「地域共生社会に係るイメージの共有」を図ることを目的にオンラインで開催したものです。

概要説明「みやぎの地域共生社会の実現に向けて」

 はじめに本会議の会長である村井嘉浩宮城県知事(代理:志賀保健福祉部長)から御挨拶いただき、次いで、宮城県保健福祉部社会福祉課の相原課長から概要説明を行いました。
□ 地域共生社会の構築に取り組む背景として、人口減少、少子高齢化、核家族化・単身世帯の増加により、家族や地域とのつながりが希薄化することで、助け合う力が弱まっている状況がある。
□ 社会福祉法改正に伴い、市町村が複合・複雑化した支援ニーズに対する「断らない包括的な支援体制」を整備するため、重層的支援体制整備事業(以下「重層事業」という。)が創設された。
□ 本会議では、地域共生社会の実現に向けた取組を推進させるため、事例報告を通じて構成団体(行政、市町村、福祉関係団体)相互の取組の共有、連携体制の構築などができるように県としても全面的に支援していく。

事例報告「地域共生社会の実現に向けた取組について」

 各構成団体(行政、市町村社協、福祉関係団体)から、地域共生社会の実現につながる取組として、御報告いただいています。また、総評として、東北学院大学地域総合学部 教授 増子氏に各団体の活動のポイントをまとめていただいています。

特定非営利活動法人ぴぃすかんぱにぃ 代表理事 千葉 拓也 氏

<主な発表内容>

 子どもの頃、大人に怒られることが多く「自分だけ他の人と違う」と感じるようになっていた。そのようなときにジュニアリーダーに出会い、キャンプなどの野外活動を通じて色々な人と関わることの大切さを知り、人と違くてもいいことを学ぶ。このことが、現在の活動の原点になっている。この経験をもとに育生事業のキャンプ、ぴぃす食堂(コミュニティ食堂)、放課後児童クラブ事業を行っていて、新たな場づくりとして、LINK(中高生と大人がつながる場)、たくらむ会(大人同士のつながりの場)を立ち上げている。
 この活動は一人一人が生きていくための力(人間力)を身につけることを目的としている。活動を通じて、人と人とがつながることの大切さを知り、自分の気持ちを素直にぶつけられるような人になってほしい。そういう人が世の中を変えていく担い手になっていくと思っている。

社会福祉法人亘理町社会福祉協議会 係長 佐藤 寛子 氏

<主な発表内容>

 令和2年に亘理町社会福祉協議会(以下「亘理町社協」という。)は経営悪化に伴い、早急な立て直しが必要な状況になった。立て直しには地域のニーズを受け止め、亘理町社協に合ったやり方で運営することが大切だと思い、地域福祉活動計画の策定を行った。職員が一つ一つ文章の確認を行いながら作り上げた計画を、冊子がボロボロになるほど確認をしながら業務にあたっている。令和3年度から民生委員の事務局を町から受託したことで、亘理町社協に住民の声が集まるようになり、人や関係機関につなげる意識を持つようになった。
 少しずつ職員の意識も変わり、相談された時に断らずに受け止めて対応するようになったことで、住民から頼りにされる社協に変わりつつある。今後も人とのつながりを絶やさずに関わりを持つことを意識し、さらに強みのある社協を目指していく。

宮城県保健福祉部社会福祉課 課長 相原 幹司 氏

<主な発表内容>

 重層事業の意義は、制度や仕組みから生まれる支援のしづらさを少しでも改善し、生きづらさを抱える人の生活を支援することである。県内市町村の重層事業の取組状況として、令和6年度は仙台市と涌谷町で実施しており、移行準備事業に3市1町が実施する予定になっている。
 重層事業は地域共生社会の実現に向けた包括的な支援体制を構築するための一手法となる事業であり、新たな受け皿を確保することが目的ではなく、既存のものをうまく活用する方法もある。
 県内35市町村それぞれ人口や高齢化率、地域の強み、課題など地域の特徴が異なることから、役所のみならず関係機関と協議しながら「わが市町村ならでは」の重層事業の実施に向けて検討することが重要である。

総評

東北学院大学地域総合学部 教授 増子 正 氏

 NPO法人ぴぃすかんぱにぃの取組は、世代や分野、支え手受け手を超えて、新たな関係を作っていく可能性を秘める地域共生社会の構築に向けた取組になっている。亘理町社協の取組は、様々な事業を通じて相談が集まり、世代や世帯の関わりが増えていき、それが関係機関とつながり、課題を解決していく。まさに従来の社会保障だけでは対応できない地域福祉に向き合う姿になっている。宮城県の発表は、地域によって特徴が違うことから35パターンのやり方で、自由に宮城バージョンの重層事業を作っていけることが分かった。
 3者の事例報告を受けて、今後も本会議では様々な事例を共有し、宮城バージョンの共生社会を作っていきたいと考えている。また、宮城県内で無理なく重層事業に移行できるように情報共有をしていくことも検討していきたい。

 今後も、本会では本会議を通じて、様々な主体による地域共生社会の実現に向けた取組の共有を行うことで、県内での取組がさらに活性化するように努めていきます。